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【多裂筋とは?】悪い姿勢や腰痛に悩んでいるあなたに【インナーユニットとは?④】

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【インナーユニット】は円柱状のボックスのような形で腹腔を覆っており、体の安定と連動を司っている。
前々回説明した【骨盤底筋群】はボックスの下の部分、前回の【腹横筋】はボックスの前から横の部分、今回説明する【多裂筋】はボックスの後ろの部分に位置している。

多裂筋とは?

多裂筋とは背骨にびっしりと付着する筋肉だ。
前回ご紹介した腹横筋がお腹から腰まわりをぐるりと囲む”コルセット”だとしたら、多裂筋はコルセットを後ろ側からキュッと締める”紐”のようなイメージだ。

例えば中世ヨーロッパが舞台の映画で、ヒロインの女性がゴージャスなドレスを着付けしてもらう時に、使用人の老婆がドレスの紐を後ろから”ギュッ”と締めるシーンが思い浮かぶだろうか?
この時ヒロインは少し苦しげな顔をしながらも、背筋がスラッと美しく伸びて、凛とした顔つきになる。

つまり多裂筋は背骨をシュッと伸ばし、安定させて”美しい姿勢を保持する”という役割がある。
もう少し細かく言うと、付着しているのがすべて背骨なので、多裂筋が働くことで背骨を「保護・安定」させている。

多裂筋が弱くなると引き起こされる症状は?

多裂筋が弱ると、背骨を「保護・安定」させることができないので、姿勢が悪くなったり、背骨、とくに腰椎を痛めやすくなる。

例えば、女性に多い”反り腰”の場合。
多裂筋が弱くなることによって、背骨を安定させることができず、その代わり腰をグッと反ることで安定させた結果に、反り腰になる。
だが腰をグッと反ると、腰椎はギュッと押しつぶされ、腰の後ろの筋肉も過緊張状態になる。
つまり反り腰によって、腰を痛めてしまうということだ。

反対に、多裂筋が弱ることで腰猫背(腰を丸めた猫背)になる人も多い。
背骨が不安定だからと腰をグッと反ることもせずにそのままで、腰から上が丸まっていく。
これはとくにデスクワークなどの座り仕事の人に多い。
なぜなら椅子に座ってキーボードを打ったり手作業をするなら、手や頭が前に出るというバランス的にも、腰を丸めた方がやりやすいからだ。

ちなみに知っておきたいのは、反り腰の人がいつでも反り腰というわけではないし、猫背の人がいつでも猫背というわけではないということだ。
筋肉、とくに多裂筋の弱化による姿勢不良の場合は、その時の体勢によって腰を反ったり丸めたりすることが多い。
例えば、立っている時は反り腰だけど、座っている時は腰猫背になる、といったような感じだ。

基本的に人は体が”不安定”になるのが嫌なので、無意識に腰を反ったり、丸めたり、足を組んだり、頬づえをついたりして安定させようとする。

そして体が不安定になる原因は筋肉の弱化で、とくに背骨を安定させる役割を担う多裂筋が弱ることで、様々な不良姿勢や体に負担をかける体勢を招いてしまう。

なぜ多裂筋は弱くなってしまうのか?

多裂筋が弱くなってしまう原因で多いのが、「楽な姿勢で座ること」だ。
先に書いた悪影響では、多裂筋が働かなくなることで腰を丸めてしまう姿勢になると言ったが、腰を丸めるような姿勢で座ることで、多裂筋が弱くなってしまう。

とくにデスクワークなどでは腕や頭が前に出やすいため、上半身の上の方が前に出る分、上半身の下の方=腰や骨盤は後ろに倒した方がバランスが取れて座りやすい。
その時は確かに座りやすいのだが、多裂筋はほぼ使われることがないばかりか、腰を丸めた状態だと多裂筋は少し伸張=伸ばされているので、弱りやすくなってしまう。

逆に反り腰の人も多裂筋が弱りやすい。なぜなら腰を反って腰椎を安定させているので、多裂筋が働かなくてもいいからだ。
だが先に書いた通り、反り腰は腰椎や腰の筋肉に大きな負担をかけるので、気付かないうちに腰痛を招いていしまう。

つまり多裂筋が弱って→反り腰になることもあれば、反り腰になって→多裂筋が弱ることもあるということだ。

では最初に反り腰になってしまう原因はなんなのか?
反り腰の原因はいろいろとある。
前回、前々回に説明した骨盤底筋群や腹横筋の弱化によって反り腰になる場合もあれば、妊娠を境に反り腰癖がついてしまうこともある。

そして多いのが、「間違った姿勢の意識による反り腰」だ。

多くの人は”姿勢を良くしよう”と思った時に背筋を伸ばしたり、腰を反ったりする。一見それで姿勢は美しくなるのだが、この意識だと腰や背中の筋肉に大きな負担になってしまう。
それに意識している時は姿勢は綺麗風になるのだが、間違った筋肉の使い方をしているので、腰や背中が疲れてあまり長持ちがしない。

ではどういう意識で姿勢を美しくすればいいのか?

”美しい姿勢の意識”は、そのまま”多裂筋を使う意識”と同じだ。
この後にご紹介しよう。

多裂筋の使い方は?

多裂筋の使い方は以下の通りだ。

【多裂筋の使い方】
①息を吸いながら頭を一個高く引き上げる
②頭は高いまま、腰お腹周りを引き締めるように息を吐く

これだけだ。

多裂筋の役割は、背骨の保護と安定。
つまり多裂筋が働くことによって、背骨を一番負担のかからない位置=正しい位置に安定させることができる。
腰を前に反らしても後ろに丸めても腰椎に負担をかけるなら、上に伸ばせば腰椎には負担がかからない。

ただ”腰を上に伸ばす意識”だとわかりにくいので、”頭を一個高く引き上げる意識”をしよう。

そして体をコントロールするときは”意識をする”だけよりか、”呼吸”を組み合わせるとやりやすい。
だから頭を引き上げるときは吸気=息を吸いながら。

そして骨盤底筋群や腹横筋と同様、多裂筋も呼気=息を吐く時により働きやすいので、息を吐きながら腰お腹周りを引き締める。
多裂筋=後ろ側を使う意識を強く持ちすぎると、腰が反りやすいので注意が必要だ。
腰を前ではなく、上に伸ばすこと。そしてお腹周りからも引き締める意識を持つことで、反り腰防止にも役立つ。

この意識は前回ご紹介した「腹横筋の使い方」と同じだ。
インナーユニットはその名の通り”ユニット=結合”しているので、一つのインナーを使うことで、隣り合うインナーも半分入る。
とくに腹横筋と多裂筋は一つのコルセットのように働くので、使い方の意識はほぼ同じになる。

そして「多裂筋の使い方」はそのまま「美しい姿勢の作り方」になる。
多裂筋を使う意識=頭を上に引き上げる意識で姿勢を作ると、腰や背中に変に力が入らないことがわかると思う。

多裂筋はインナーマッスルなので、持久力には自信がある。
強い力は発揮しないが、活性化できれば無意識でも美しい姿勢をキープできるようになり、腰痛や不良姿勢とおさらばすることができるだろう。

まとめ

今回のインナーユニットシリーズでは、インナーユニットを構成する一つ一つの筋肉の大切さを知ってもらいたいがために、別々に紹介しているわけだが、実際それぞれの筋肉を使うときは、一つずつ使うよりかはインナーユニットとして全てまとめて使う方がやりやすいし分かりやすい。

つまり骨盤底筋群と腹横筋と多裂筋を”一緒に”使った方が、使いやすいし分かりやすいし、活性化もしやすい。なぜならユニットだから。
個人でプレイするよりか、チームのなかでプレイする方が力を発揮するスポーツ選手のようなものだ。

だが次回ご紹介する”横隔膜”は少し異質のプレーヤーで、インナーユニットの他の3つが呼気(吐く息)で働きやすいのだが、横隔膜に関しては完全に吸気(吸う息)で働く。というかむしろ息を吸うための筋肉が横隔膜だ。

横隔膜は”インナーユニット”という今回のシリーズの枠を超えてとても大切な筋肉なので、次回しっかりと学ぼう。